2016年1月6日水曜日

ナンバリアンの進路・就活事情

ナンバリアンというのはナンバレの人という意味です。お調子者のファシリテーターの一人の造語。ケニアンならぬナンバリアン。


進路の事、職業の事、将来のことを考えるのはどこの国の若者でも悩んだり誰かに助言を求めたりするものだと思います。

日本ではほとんどすべての人が高校までの教育を受けられ、高校卒業後も多くの若者が大学や専門学校へ進むことができる社会です。まだやりたいことがはっきり決まらないからとりあえず大学に行って将来について考える、なんてことがまあ普通にできる社会。

しかしケニアではみんながみんな、そんな風に大学へ行ったりすることが出来るわけではなく。

年明けにホテルのボーイの一人と新年のあいさつを交わしながら、なんとなく「新年の抱負は?」と聞いたら「今年の目標は大学へ行くこと。」と。彼は5人(6人だったかも)兄妹の長男で日本でいう高校(セカンダリースクール)までは出ていますが大学へ行く余裕はなく卒業後職を転々とし今年で3年目。ケニアの大学の学費は一年間平均1217万程度。日本の私立大学の入学金ぐらいですが、ウェイターの月給は日本円で3500円程なので貯めることなんてできるわけもなく日々の生活を何とかやりくりするので精いっぱいという所。しかも交際3年目の彼女(彼は一途っぽい、、と信じたい)は大学で会計学を学んでいて学歴差カップルなのです。

彼の例だけでなく、サイバーカフェに行けば若者は大学の入学要綱ついてリサーチしているし、プロジェクトで訪れるコミュニティの子供達からも「将来大学にいきたい。」との声が聞こえてきます。

私自身そんなホテルのボーイとサイバーカフェに行き一緒に奨学金や大学調べをしたりしたこともありました。

またすでに大学へ通う学生にとっても別の問題があります。ケニアの大学ではAttachmentと呼ばれる、在学中に24か月ほど自分の学部や選考に応じた職場で研修を行うというインターンみたいな制度が有ります。教育を専攻する友人は地元のセカンダリースクールでこの春から研修を始めると言っていたりします。教育実習ですね。年末でブシアに帰省していた若者も皆研修先を探していました。ネットとかで調べたりエントリーしたりするのかと思っていたら、大抵は親戚や知り合いのコネで見つけるものらしく、数か月研修先が見つからないと嘆いていたフランス語専攻の友人は年末に赴任先から帰ってきた父親のコネであっさりキスム空港での研修を計らってもらっていたり。日本のようにそのまま就職に結びつくことも有るため、このAttachment、かなり重要なんですがもちろん誰もがコネでうまくいくわけではないのでリサーチが必要。

奨学金や学生ローンの制度も国内外を問わずケニア人学生向けのものが有りますが、多くがオンラインであったり、もちろん選考基準もあるなか、コンピュータの扱いに慣れていない若者も多いのが実際。セカンダリースクールの場合は教師のサポート、すでに卒業してしまった若者に対しても進路や就職について相談・情報を収集できる存在、サービスが必要だと感じました。ナンバレには無いけどブシアに行けばカウンティオフィス内に「若者進路キャリアサポートセンター」的なものも存在しているのかもしれない、、。

 

ADEOオフィスにネットも完備されたことだし、コンピュータ教室も、音楽のダウンロードの仕方とかをレクチャーしてないで、まずは進路や職業さがしにネットを有効に使う方法なんかをしっかり教えてほしいと思います。

現地の人が抱える問題や社会の仕組みが見えつつ有りそうな微妙な所で帰国になってしまいとても悔しいです、、。

NGOとは


 

 ナイロビに戻り、帰国まで間もなくとなりました。平均九時間のブシア‐ナイロビ間バス移動も4度目となれば慣れたものです。できれば経験したくないけど、、。今回はシャトルバスではなくミニバンを使ってみたけど割と快適でした。早く着いたし。クリスマス~ニューイヤーシーズンは大手バス会社は予約でいっぱいなので、台数と時間も比較的融通の利くミニバンもおすすめです。

ネット環境下に戻ってきて、自分のブログの更新量があまりにも少ないのを反省し、残りわずかな研修期間ですか、しっかり文字化して残したいと思います。溜まっていた下書きをまとめて更新することをお許しください、、。

 

オフィスに関して研修を通して感じた事。

プロジェクトの効果・活性化を求めようとする姿勢の低さやスタッフ達のプロ意識の低さみたいなものは少なからずあると思います。これはNGOだからなのか、それともケニアの特にスローな農村のオフィスだからなのかはっきり言えませんが、、。受益者に対してどれだけ影響を及ぼせたかではなくまず「NGOとしてこんなことをやった」という事が一番で、効果は二の次になっている印象を受けました。

けどこう感じるのもNGOというものに勝手なキラキラしたイメージを持った自分のフィルターを通して考えているからかもしれません。日本ではどちらかというと草の根的な、自らの仕事に使命感を持って働いているイメージがあるNGOですが、ここブシアにおけるADEOというのは、日本人にとってのNGO職員とはまた違ったイメージを持たれている気がします。

ADEOスタッフはどちらかというとオフィス勤務が出来てスマフォをもってて身ぎれいな、比較的高所得な層と認識されている印象です。しかも謎のムズングインターン生(私)まで受け入れてるし。コミュニティに出て行ってセッションを行うと、少なからず「どうしたらあなたの団体にやとってもらえる?給料はどれくらい?」と聞かれたりしました。

 

ADEOの現在のプロジェクトはHIV/AIDsの要望啓発教育に関するもので、内容としては日本の保健体育の性に関する授業みたいなもの。これをコミュニティベースで行うんだけど、「ぜひ参加したい!学びたい!」という女の子達や保護者が自然と集まるわけもなく、店番をしなきゃならないお母さんや子供の世話をしなきゃならない年頃の女の子など、暇そうに見えても皆それなりにやることが有るわけです。そんなわけでセッション後に参加者全員にサイダーを配ることを約束して参加者集めをするわけですが、セッションやHIV検査を受けずにサイダーだけ飲んで帰っちゃう子もいたりと一筋縄ではいかないのです。でもサイダーの効果はかなりあると見えて集まるところではめちゃめちゃ集まります。日本で献血してアセロラジュースもらえるみたいな感じ、、とはまた違うと思うけど。そのほか参加者名簿も記入しなければならないのですがこれもまた子供の歳や学校の情報など適当、、。

ADEOスタッフ「子供いないの?じゃあ親戚や身の周りに12歳くらいの子いない?」

保護者参加者「いた気がする、、。」

ADEOスタッフ「どこの学校行ってる子?」

参加者「えーと、、。」

ADEOスタッフ「○○スクールじゃない?そうでしょ。はい○○スクールね。OK.。」

みたいな。

でもセッションを通して少しでも自分の将来や男女関係・親子関係について顧みる機会になっているのは確かだし、こうした教育をコミュニティに伝えるためのファシリテーター育成なんかはとても意味の有る事だと思う。だからこそもっと形式だけじゃなくもっと彼女たちの生活に入り込めるような有効な手段について考えるべきだしもう少し積極的に働けばいいのにと思ってしまう。

プロジェクトだけでなく出勤簿も改ざんしまくり。オフィスのネット回線工事も始まったことだし、タイムカード的機能のある出勤ソフトでも導入したらいいかもしれません。年間ミーティングでも“幽霊従業員”について言及されてたし、もう見抜かれてはいると思うんだけど。でもそんなのを導入した所で後から「この日はフィールドに家から直接向かった。」とか言ってどうせうまくいかなそう、、。

研修期間中、色々突っ込んだり、これはちょっといい加減すぎじゃない?とか話したり提案したりしてきましたが、真剣に聞いてもらえず「こういう小さい所から汚職は始まっているんだ!」とかなんとか私がピーピー騒いでスタッフにゲラゲラ笑われるのが常という。

「やった方がいいかもしれないけど、やらなくてもまあいいじゃん」というラインで人を賛同させて変えることは難しい。とりあえずこれらを含む問題点・改善点をまとめた報告書を作成中。

2015年12月30日水曜日

クリスマス





更新がかなり滞っていましたが元気です。オフィスは未だに仕事が残っていて年末ですが全員出勤です。ファンド分は年内にプロジェクトをやりきらなければならなく、やはりドナーに左右されるのがNGO。個人的にはクリスマス前にスーツケースが盗まれるという珍事件に見舞われて、バタバタしていました。こんな話は更新しなくてもいいかもしれないけど、もともと研修日記というか生活日記みたいになってたのでその流れで更新しようと思います。

肝心のスーツケースにはパスポートをはじめと知る貴重品すべてが入っていてさすがに焦って半泣きでサロンのマダムからバイクドライバーまで町中の顔見知り達にスーツケースについて尋ねまくった為、あっという間にナンバレ中に広まってしまい、アクシデントから一週間たった今でも市場や道端のいたるところで「ポレポレ」(どんまい的なニュアンス)と声をかけられる日々。

オフィススタッフ(もはや5人中2人は出勤してなかった。)も全員風の速さで駆けつけて「こういう時こそADEOが一つになるときだぜ。ドヤ」と。数名は間違いなく面白半分っぽかったけどこの時ばかりは本当に助かりました。仲良しの仕立て屋のマダムから受け取ったばかりのドレスも取られてしまって嘆く私に「違法滞在者だ」とか、「ついにケニア人と結婚してブシアに居すわれ」とか相変わらず冗談は忘れないオフィススタッフ達に囲まれてると自分も笑わざるを得ない、、。
初ケニアポリス、初ポリスカー、初取り調べでてんやわんやしていましたが何とか落ち着きました。

警察が真っ先に疑ったのが私が親しくしていたホテルのボーイだったのでいやいやそんなまさかと思っていましたが、「一番親しいひとこそが一番の容疑者」とケニア人が口をそろえて言うので、深刻な人間不信に陥りかけました、、。
それでも相変わらず同じホテルに泊まり続けてのんきにスタッフと一緒にチャパティなんか作っちゃってる自分はやっぱり甘いんだろうなーと思います、、。

ご心配をおかけしたADEO(現地もジャパンも)の皆様と家族、連絡をくれた友人にお詫びします。残り短い研修生活ですが、無事やり切れるよう努めようと思います。


2015年12月17日木曜日

女の子の話



なんでスカート履かないのとよく聞かれます。
街中ではパンツ姿の人も多いけど、ブシアではたとえ足元はサンダルだったり裸足だったりしてかなり貧しそうに見えてもほぼ九割方女の子はスカート履いてる。聞くところによると、男性の前では女の子はちゃんとスカートを履くべき、という父親、男性への尊敬を示すという古い習慣は未だに残ってるんだとか。女性は女性らしくということか。
その延長としてという訳ではないけど子供として、女の子としてより「女性」として、一人の「人」として扱われている印象で、皆見た目も振る舞いも、歳の割に大人びています。2歳の子をおんぶして歩いている5歳の女の子の表情が明らかに日本の5歳の子供の表情とは違う。子供らしくない落ち着きがあるというか。自分なんか22歳になってもまだ子供みたいで、近所のお母さんに12歳といわれています、、。
アフリカの女の子は成長が早いと良く聞くけど、ほんとにそうだと思います。
そして早期結婚や結婚できるならまだいいけど、学生妊娠や学校中退、性関係に関しての知識不足からのHIV/AIDsの問題は、彼女たちの早熟さと必ずしも無関係とはいえないなと彼女たちの姿を見ていて思います。こうした予期せぬ妊娠や子育てといったことが特に女の子に負担を強いていることも、ADEOが今年から女の子を中心としてセッションを行っている理由です。

そもそも実際の行動と、男女はこうあるべきみたいな文化的風習とのギャップが大きすぎる気がする。例えば、こんな環境なのに婚姻関係おいては古くからの慣習みたなものが残っていて、女性にきちんと教育を受けさせ、これまで育ててくれた感謝を示す意味で男はダワリーという結婚税(平均牛5頭+ヤギ2頭+そのたもろもろ現金、、)を女性の両親に支払わなければならなかったり。「女は結婚するまで男性と関係を持たないというのが決まりだから私は彼氏がいたことない。」みたいなことを言ってる若い子もいたりするけど絶対嘘でしょって感じです。

男女関係のことをよく聞いてるけど、しっかり子育てしているような母親も避妊具は使わずピルを服用していて、夫婦なら普通だけど、「夫は他に浮気相手がいるかもしれないわね。」とあっさり言われた。(実際結婚していようがいまいが複数の女性と関係持ってる男性はここではかなり多い。)その浮気相手がHIVを持ってたら彼女が感染する可能性だってあるわけで。
浮気されていいの?ときいても「だってしてるかしてないか、どうやって知るの?男は皆そんなもんよ。」と大抵返されます。うーん、、。ケニアでは一途な男性を見つけるのは間違いなくかなり難しい。
でも女性が虐げられてるという訳じゃ全然じゃなくて、商売でもなんでも、男性と対等に渡り合っているし、(ADEOもナイロビ・ブシアオフィスどちらも女性スタッフが多いし、顧問委員会的なグループのメンバーにも女性がきちんと入っている。)いたって逞しいのです。強くたくましくどっしり構えていてる女が多いから、男がおおらかで自由気ままなのか、男の呑気で移り気な所が、女をそうせざるを得ないのか、、。
やっぱりジェンダー的に女性寄りな文になってしまったけど、社交的で明るい所がケニア男子の魅力だと私もケニア女子も認める所だし、そんな彼らにたくさん励まされたのも事実です。(フォローになってないか、、)


2015年12月13日日曜日

汚職に負けない




 Anti corruption

汚職汚職、ニュースでも評論家は毎日汚職について嘆いていて、新聞でも汚職、道端の食堂でも皆「汚職汚職」。ケニア人は議論するのが好きだけど、どんな問題でも話していくと大体汚職のせいだで落ち着く。汚職が蔓延っているのは本当だし、政治が変われば国も変わるけど、どこか皆、なんでも汚職のせいにし過ぎている気がする。
自分たちが貧しいのも汚職で国の制度がきちんと機能しないせいだからしょうがない。それはその通りだけど、それだけじゃないんじゃないか。(NGOで研修していてこんなこと言っていたら叩かれるかもしれないけど。)

汚職とは何か。どこからが汚職か。

なんだか遠回しな導入で、何が言いたいんだよという感じですが、不正の大なり小なり、公務員だったりそうでなかったりしても、不正を犯しているのは政府だけじゃないんじゃないかということです(日本語で汚職は公職の不正に限って使われる模様。)。

直接お金をどうこうということではなくても、オフィスワーカーが報告書のデータを少し誤魔化すとか、酪農家が牛乳を水で量増しして露店に仕入れさせてるとか、仕入れるお店側もそれを知らないわけではないとか。

誤魔化すのが普通だから、ある程度相手が誤魔化してるということを考慮しちゃってるし、小さい所を真面目に追及していたら彼らの社会はまわらない。こうしたいい加減さをお互いに容認しあうから成り立つ仕組みがここケニアでは末端まで(むしろ末端に行くほど?)出来上がってしまっているような気がします。

そして誤魔化しが入ってても入ってなくても、そういうデリケートなお金や契約関係のやりとりを子供や受益者(ADEOのプロジェクト実施中もそうだった。)の前で平気ですること。こんな環境で育ったら良くも悪くも子供はしたたかにふるまう術を学ばざるを得ないと思うと、現地の子供たちの年の割に大人びた姿にも納得してしまいます。子供は子供らしく育てられる日本に比べると、ここでは子供だろうと容赦しない。

こうしたことの延長といったら言い過ぎかもしれないけど、最近のオフィスについて。1年間の総まとめというべきミーティングがナイロビで行われることになっていて、一応ブシアオフィスからも報告者が出席しなければならないのに、スタッフ皆あれこれ理由を付けて行きたがらず、グダグダしていたここ数日。
欠席理由も「カレッジの試験だから」(こっちでは仕事をしながら授業を取ったりするのが普通で、県政府に学費の補助も申請できる。)と言っている割に当初ミーティングが行われる日程だった日には普通にオフィスに来ている。改めて日程が別の日に決まったら、今度はその日に試験が有るから無理とか言い出す始末、、。(ちなみにオフィスに来ない日でも出勤リストは毎週月~金8時間フル出勤したことにして申請してるし。)

「お前が行け」「俺は無理」ばっかりでいつまでも決まらず、「プロジェクトを主立って担っているわけでもないので自分じゃ無理」と言っている女性スタッフと「短いパワポをプレゼンするだけだから誰でも大丈夫」というボスと「俺はカレッジの試験がある。」と言い張るその他スタッフでもめて、結局勤続2年ちょっとの女性スタッフ(ミーティング初参加、そもそもヘッドオフィス訪問自体初)と私二人で行くことに。
別にたいしたミーティングにならないかもしれない。(まあアンニュアルミーティングだからそれなりに重要なはずだけど!)ただ納得できないのはボスや他のスタッフが参加しないこと自体ではなく、そこまでしてバックれたいのかというか、これくらいの事に対してすら責任感を追う気が無いのかという所であまりに呆れてしまい、最後までゴタゴタ言ってはっきりしないスタッフにさすがに「責任感は無いのか」とキレてしまいました。それでも「佳子、なにをそんなに怒ってるんだ?」という調子で目そらしてケータイいじりながらごまかすからケータイ外のトウモロコシ畑に放り投げてやろうかと。そしてものの二分後にはケロッとして冗談を言ってくるからもう完敗です、、。

へらへらしながら逃げるように帰っていった居残り組スタッフ達を見ながら、急にオフィスを代表して出席しなければならなくなって途方に暮れている女性スタッフの
“They are too corrupt.” 
がその日の名言(謎言?)となりました。これは今回の適当っぷりだけでなくてこれまでのプロジェクト運営におけるもろもろの誤魔化しやいい加減さを含めてのcorruptと受け取りました。
いつものんびりな彼女が柄になく深刻だったけど、漂うシュールさについ笑わずにはいられず。

そんな訳でナイロビ出張となりました。私自身は新規のプロジェクト計画には至っておらず、研修生として現在のプロジェクトの様子をまとめたコンパクトなレポートを用意してたけど、スタッフのあまりの無責任さに気が変わって、この二か月で気付いた問題点や疑問点についてもやんわりと報告しようと急遽資料を書き直してます。
問題をなんとなく隠して誤魔化して受け入れる流れに慣れてしまえばそれまでだし、正直そうなりかけてましたが、ここは一つ抵抗してみようと思います。